円城寺家のイケメン探偵 ~脅迫状に込められた思い~
『学校宛にしなかったのは、もし誰かに「もみ消されたら」…と思ったんだね』


と、凛音。


『はい。その通りです。信頼出来る演劇部の部長、菜摘なら脅迫状を受け取って、劇を中止にしてくれるんじゃないかって。中止になれば…練習もなくなるし、ナレーションもしなくていい、先生とも2人きりにならなくて済む。そしたら…お金も要求されないと思って…』


そんな切実な願いが…あの脅迫状にこもってたんだ…


『なぜそんなにお金を持ってない高校生にしつこくお金の要求なんか…』


私の中に、佐々木先生への怒りが込み上げてきた。


『私も…どうして自分なのかって…』


『ごめんね、真由。私、脅迫状が怖くて教頭先生に相談して凛音様を紹介してもらったの。でも、教頭先生も警察沙汰にはしたくないみたいだったし、凛音様は「名探偵」だから…全てを頼ってしまった。劇は…せっかく作り上げて頑張ってきたし、出来ることなら演劇部のみんなを舞台に立たせてあげたいって…そう思ってしまったの。でも、それが真由を苦しめてたんだね。本当に…ごめん』
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