眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「じょ、条件があります」

「は? なんだよめんどくせーな」

「抱きしめる代わりに……もう小町さんに、触らないで……ほしい、です」

「……」

「傷の手当ても……してほしくない……」



嫉妬じゃないって言った数秒前の自分が聞いて呆れる。

だけど御影さんは、呆れるどころか満足そうに笑って。



「よし、来い」



なんて言うから、大きく広げた両手の中に私は飛び込んだ。




「もうみのりのことしか触らない。約束する」




背中にぎゅっと腕が回って、胸が熱いものでいっぱいになる。


もう、いい。

鬼炎魔のためでもなんでもいい。


私はこの人が好きだから。

好きな人とこうしていられるのなら、なんだっていい。


< 114 / 244 >

この作品をシェア

pagetop