眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「じょ、条件があります」
「は? なんだよめんどくせーな」
「抱きしめる代わりに……もう小町さんに、触らないで……ほしい、です」
「……」
「傷の手当ても……してほしくない……」
嫉妬じゃないって言った数秒前の自分が聞いて呆れる。
だけど御影さんは、呆れるどころか満足そうに笑って。
「よし、来い」
なんて言うから、大きく広げた両手の中に私は飛び込んだ。
「もうみのりのことしか触らない。約束する」
背中にぎゅっと腕が回って、胸が熱いものでいっぱいになる。
もう、いい。
鬼炎魔のためでもなんでもいい。
私はこの人が好きだから。
好きな人とこうしていられるのなら、なんだっていい。