眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「実は今日、保健室で寝てるとき、銀くんがお昼の時間を知らせに来てくれて」
「は? 保健室行った連絡なんて来てねーけど」
「ケンカ中だから、私に気を遣ってくれたみたいです」
「……ふーん。で?」
「そのときちょっと……少しだけ、からかわれて……近かった、ような」
「どんくらい」
「え、っと……結構」
「結構じゃわかんねーだろ」
「今の私たちより、ちょっと離れたくらい……?」
「は?」
どうしてからかわれたのか、自分でも理解できていないから。
御影さんに上手く説明できないのは、仕方ない。
だけどそんなたどたどしい説明でも、御影さんはなにかを感じとったのか。
「……萎えた」
「えっ」
近かった距離がスッと離れ、私を残し立ち上がってしまった。