眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「え、あの、怒ったんですか?」

「別に」

「、…」



背中を向けた御影さんが、冷蔵庫を雑に開ける。

中を確認したのになにも取り出さず、いつもより荒く扉を閉めた。



「飲みもん買ってくる。部屋から出んじゃねーぞ」

「待ってください、私も一緒に、」

「来んな」

「、…」



ピシャリと突き放して、私に背を向けた御影さんが靴を履く。

一緒に行きたくて、でも拒まれて……中途半端に立ち上がりかけた状態のまま、私はそこから動けない。



せっかく仲直りしたのに。

せっかく帰って来ることができたのに。



こんなの、いやだ。



「御影さ、」


ドアを開ける御影さんを追いかけようと、立ち上がった、

───そのとき。



「、痛っ……」



突然、頭に激痛が走り床に膝をついた。

座るにしては鈍い音が響いて、御影さんが振り返った気配を感じる。



「みのり?」



痛い、…


頭が割れるように痛い、……



「おい、みのりっ、」



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