眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「……早く、……ハァハァ、、……全部、思い出したい、」
「……」
「思い出して、…ハァ、……楽に、なりた、」
「っ───」
『楽になりたい』
その言葉が途切れたのは、強く抱きしめられたから。
痛いくらいの力で、御影さんが頭ごと私を掻き抱いた。
「、…ハァ、ハァ、、……」
苦しくて身を預けた私を、隙間なくぎゅっと包んでくれる大きな手。
それを感じて少しずつ、恐怖から解放されていくのがわかった。
「……なにも、思い出さなくていい」
…え?
「記憶なんか、全部忘れちまえ」
「、…」
どうして、そんなことを言うの……?
「、……全部、思い出さないと、……御影さん、鬼炎魔の秘密、知ることが……」
秘密を知るために、私を匿ってくれているのに。
どうして……
「興味ねーよ。あいつらの秘密なんて」