眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
6「クリスマス」
「御影くんと仲直りしたんだね」
翌日の休み時間、隣の席からそんな声が届いた。
視線を向ければ、嬉しそうに微笑む銀くんがいる。
「全部銀くんのおかげだよ。ほんと色々ありがとう」
「どういたしまして」
1時間目の休み時間とあって、教室内にはまだ眠そうな生徒が多い。
静かとまではいかないけれど、活気があるわけでもないそんなひと時。
───の中。
突然響いたのは、廊下にいる女子たちの黄色い悲鳴だ。
あくび途中の生徒や今更朝ごはんを食べている生徒たちが、すっかり目覚めるくらいの声。
「珍しい、2年の階に来たんだ」
「え?」
すぐに状況を理解したらしい銀くんの横で、私はなにが起きたのかわからずにいる。
と、教室のドアから現れたのは、この階にいるはずのない3年生の御影さんだった。
「みのり、少し話せる?」
……なるほど。
王子様の登場で、女子が騒いでたのか。