眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「こんなところまで来て、どうしたんですか?」
廊下に出ると、そこでも当然女子たちからの視線が刺さる。
すっかり王子の姫として定着しているのか、不穏な視線じゃないのが救いだけど……。
それでも見世物のように野次馬がわんさかいるのは、居心地が悪い。
「クリスマスのことなんだけど」
「……クリスマス?」
「きゃー! 王子のクリスマス事情……っ!」
「やば、超気になる……!」
「姫絶対誘われるじゃん!!」
「……。」
チラリと教室内に目を向ければ、銀くんが顔を背けて笑いを堪えているのが見えた。
……肩、震えすぎじゃない?
「あの、それでクリスマスがどうかしましたか?」
「デート」
「でーと?」
「したいな、2人で」
「……! そ、そんなこと今ここで言ったら……」
このあとは絶対、
「「「王子が姫誘ったアアア!!!!」」」
ほら……やっぱり……。
案の定、女子たちの悲鳴が学校中に轟いた……。