眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「ん?」
「あ、いや……。銀くんって本当に優しいなと思って」
「そうかな」
「そうだよ。ほんと、いつもありがとう」
「どういたしまして。でも僕、誰にでも優しいわけじゃないよ」
「え?」
「あ、リクのやつ、ここ飲食禁止なのに。こら、リク!」
ポテトチップスの袋に手を突っ込むリクくんを注意するために、銀くんは行ってしまった。
誰にでも優しいわけじゃない。
……どういう意味、だろう。
暴走族だから、喧嘩だって抗争だってするってこと、かな。
考えながら視線を向けた先では、弟を注意する兄弟みたいな2人のやり取りが見えた。
その様子が微笑ましくて、眺め続ける。
───と。
「あ……」
視界の隅に映った人物に、鼓動がドクリと騒いだ。
……小町さんが、いる。