眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
唇から、血がじわりと滲んでいるのが見える。
むき出しの膝からも、転んだあとのような傷がジュクジュクしていて痛そう。
どうしてあんな怪我を……?
なんて悠長に考えていた私は、小町さんが向かう先にいる人物を見てハッとする。
間違いなく、御影さんの元へ向かっているから。
「御───」
「小町さん……っ!」
名前を呼ばれるより先に、私が呼んだ。
足を止めて振り向いた小町さんのところに、すぐに駆け寄る。
「……なに?」
「怪我の手当なら、私がします」
「は?」
「私にさせてください」
「……」