眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



唇から、血がじわりと滲んでいるのが見える。


むき出しの膝からも、転んだあとのような傷がジュクジュクしていて痛そう。



どうしてあんな怪我を……?


なんて悠長に考えていた私は、小町さんが向かう先にいる人物を見てハッとする。


間違いなく、御影さんの元へ向かっているから。



「御───」
「小町さん……っ!」



名前を呼ばれるより先に、私が呼んだ。


足を止めて振り向いた小町さんのところに、すぐに駆け寄る。



「……なに?」

「怪我の手当なら、私がします」

「は?」

「私にさせてください」

「……」


< 141 / 244 >

この作品をシェア

pagetop