眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「覚えてはないですけど、私の記憶が秘密を握ってるみたいです」
「ふーん。それで御影さんに匿ってもらってるって、本当なんだ?」
「……はい」
ずっと無表情を貫く小町さんは、私の返事にも顔色ひとつ変えない。
「そっか。じゃあみのりさん───」
「…?」
「───絶対私に勝てないね」
「え?」
勝て、ない?
「私ね、似てるんだって。御影さんが唯一好きになった女に」
「、…」
ドクン、…不穏な音に体が震えた。
唯一、好きになった女……
「御影さん、1度だけ私を抱いてくれたことがあるの」
「……っ」
ガーゼを持つ手が、微かに震える。
でも、ここで怯んだら負けだ。
そんな気がして精一杯の虚勢を張る。
この状況の中、少しでも優位に立てるように。