眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「、…」



嘘……だったの?


ううん、そんなはずない。


大丈夫、御影さんは嘘なんてついてない。



だって、恋人でもないのあんなにたくさんキスを……



……でも、もしかして、それが理由?


恋人でもないのに甘い時間を過ごしたのは……全部……



「、っ……」



小町さんの言うことは、筋が通っている。


そうだよ、秘密を知りたい人間が、『秘密のために優しくしてる』なんて正直に言うわけない。



じゃあ、御影さんはやっぱり……



「あの日、御影さん、私のことを愛おしそうに見てくれた」

「、…」



悔しいのに、なにも言葉が出てこない。



「愛おしそうに、抱いてくれた」

「っ、…」



感情任せの声すらも、もう出てこない。




(おぞ)ましい嫉妬が血液に乗って、全身を流れる感覚だけを感じて……



気が狂いそうなくらい、


叫び出しそうなくらい、


嫉妬で頭が埋め尽くされて、おかしくなりそうだ。


< 147 / 244 >

この作品をシェア

pagetop