眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「、…」
嘘……だったの?
ううん、そんなはずない。
大丈夫、御影さんは嘘なんてついてない。
だって、恋人でもないのあんなにたくさんキスを……
……でも、もしかして、それが理由?
恋人でもないのに甘い時間を過ごしたのは……全部……
「、っ……」
小町さんの言うことは、筋が通っている。
そうだよ、秘密を知りたい人間が、『秘密のために優しくしてる』なんて正直に言うわけない。
じゃあ、御影さんはやっぱり……
「あの日、御影さん、私のことを愛おしそうに見てくれた」
「、…」
悔しいのに、なにも言葉が出てこない。
「愛おしそうに、抱いてくれた」
「っ、…」
感情任せの声すらも、もう出てこない。
悍ましい嫉妬が血液に乗って、全身を流れる感覚だけを感じて……
気が狂いそうなくらい、
叫び出しそうなくらい、
嫉妬で頭が埋め尽くされて、おかしくなりそうだ。