眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
御影さんが他の部下と話しているのが見えたから、私はゆらゆらおぼつかない足で銀くんの元へ向かった。
「……銀くん」
声をかけてすぐ、銀くんが振り向く。
「どうしたの、顔色すごく悪いよ」
「……あのね、銀くん」
「うん?」
「……」
「みのりちゃん?」
「………、て………ほしい」
「え?」
『御影くんが他の女の子とそういうことをしたなら、みのりちゃんもしちゃえばいいんだよ』
あのときの銀くんの声が、頭から離れない。
「やっぱり、……してほしい。……銀くんに」
「……」
なにを言いたいのか、こんな掠れた声でも伝わったみたい。
だって銀くんが、一瞬大きく目を見開いたから。