眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
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「綾瀬みのり、向陽高校2年C組、住所は……まあ、知らなくてもいーか」
「よくないです、教えてください」
翌日、男は私の所持品の中にあった学生証を読み上げた。
私の目が覚めるまで持ち物を勝手に見なかったのは、男が持ち合わせている最低限のマナーからなのかもしれないけど。
でもこんな状況なら、家族に連絡するために見てもいいのに。
なんて……。
怪我をして闇医者が出てくるくらいやばい組織に関わってるんだから、そんな都合よくいかないことは何となく理解している。
つまり、マナーなんかじゃない。
家族に連絡して、警察に通報されるのを避けたかったんだろう。
とにもかくにも、やっと自分の名前と歳が判明したわけだけど……
「お、発見。お前が住んでたとこ、こんな感じ」
まだ起き上がれない私に、男はスマホで住所を検索して画像を見せてくれた。
ディスプレイには、この部屋同様新築からはほど遠い、おんぼろアパートが表示されている。
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「綾瀬みのり、向陽高校2年C組、住所は……まあ、知らなくてもいーか」
「よくないです、教えてください」
翌日、男は私の所持品の中にあった学生証を読み上げた。
私の目が覚めるまで持ち物を勝手に見なかったのは、男が持ち合わせている最低限のマナーからなのかもしれないけど。
でもこんな状況なら、家族に連絡するために見てもいいのに。
なんて……。
怪我をして闇医者が出てくるくらいやばい組織に関わってるんだから、そんな都合よくいかないことは何となく理解している。
つまり、マナーなんかじゃない。
家族に連絡して、警察に通報されるのを避けたかったんだろう。
とにもかくにも、やっと自分の名前と歳が判明したわけだけど……
「お、発見。お前が住んでたとこ、こんな感じ」
まだ起き上がれない私に、男はスマホで住所を検索して画像を見せてくれた。
ディスプレイには、この部屋同様新築からはほど遠い、おんぼろアパートが表示されている。