眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「助けてくれた人のことは、一応、知っておきたいし……」
「あ、そ」
近づいてきたくせして興味なさそうに、男は距離を戻した。
なにそれ……。
人の心臓の速度上げるだけ上げて放置って、タチ悪すぎ。
「剣崎御影、17歳、高3。親は死んで遺産使って一人暮らし」
「え?」
あ、私の質問に答えてくれたのかな。
スマホ見ながら、ものすごく適当な言い方だけど……。
「えーと、剣崎さん?」
「御影でいい」
「みかげ、さん……」
「ん」
けんざき、みかげさん。私より1つ上で、高校3年生。
親は亡くなって、ここで一人暮らし。
情報を知るだけで、総長という怖い存在がぐんっと近くなった気がした。