眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす







「綾瀬みのり、中学1年生です」

「剣崎御影、中2です。これからよろしくね、みのり」

「う、うん。よろしく、御影くん」



中学1年生の夏。

私のお母さんと御影さんのお父さんが再婚して、私たちは義兄妹になった。


王子様みたいにかっこいいお兄ちゃんができたことが、当時はすごく嬉しかったことを覚えている。


だけど出会って間もなく、嬉しい気持ちは徐々に恋心に変わっていった。


私にとっての初恋は、好きになっちゃいけない人。


わかってはいても、一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、想いは確実に募っていって……



そんな想いが独りよがりではないと気づいたのは、2人で行った花火大会でのことだった。



打ち上がる花火を見ながら、繋がれた手。


ドキドキしながら視線を向けたら、目が合って……



両想いだって、言葉がなくてもお互い通じ合ったから……私たちは花火の下で、初めてのキスをした。


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