眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
8「記憶」
「出ていけ、この疫病神……っ!!」
ガタン、バシ、ゲシッ───!!
「やめて、御影くんを殴らないで、…!」
「お前なんかいらない、消えろ、死ね!! とっとと出ていけ、ここはお前の家じゃない!!」
「お願いお母さん、そんなこと言わないでっ……!」
「みのり、いいから、」
私の父と、御影さんのお父さん。
愛する人を2人も亡くした悲しみからか、お母さんは日に日に変わり果ててゆき……
そんな母の姿を見ているのが、私はとても辛かった。
それからの毎日はまるで地獄のようで……
どんな目に遭ってもどんな怪我を負っても、他に行く宛てのない御影さんは母の仕打ちに耐え続け、
そして私も、地獄のようなその光景に震えながら耐え続けていた。