眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



そして、私が中2になり、御影さんが中3になった頃。


暴力は相変わらずで、子供の私たちになにができるわけでもない日々を過ごしていたある日。




「……お母さん?」



学校から帰ると、リビングに入ってすぐのところにお母さんが倒れていた。



「っ……どうしたの、お母さんっ!!」



声をかけても揺すっても、ピクリとも動かない。



「どうしよう、死んじゃう、お母さんがっ…………救急車、」



制服のポケットに手を入れて、震えた手でスマホを握る。


だけどそこから、私の手は動かなかった。


恐怖に硬直したわけじゃない。


救急車の番号がわからなかったわけでもない。



ただ、私は、…………




「………救急車、呼ばなくていいよ。……だって、このまま死んじゃったら………死んで……くれたら……、」



御影くんが、もうひどい目に遭わなくて済む。


私だって、変わっていくお母さんを見なくて済む。



だからこのまま─────



「みのり?」




「、…」



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