眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
私が中3、御影さんが高校1年生になった秋のこと。
「御影くん、マフラーしなくて寒くないの?」
「今は大丈夫かな。冬になったらさすがに寒いかも」
「じゃあ私、クリスマスプレゼントにマフラーあげるね。……あ、でもそれまで寒いから、クリスマスの前にあげようかな」
「ありがとう。そうだ、12月24日は2人でどこか行こうか」
「いいの!? 私、駅前の大きいツリー見に行きたい!」
デートの約束が嬉しくて、まだ先のクリスマスを待ちわびた。
まずはプレゼントのマフラーを選びに行こう。
そう思うものの、『親の遺産は大事に使う』
そう決めていたから、プレゼントとクリスマスを満喫するお金が欲しかった私は……
「あの、ここで働かせてもらえませんか…?」
放課後、こっそり繁華街の飲食店でバイトを始めた。