眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
それっきり、御影さんには1度も会っていない。
記憶をなくして目が覚めた、あの瞬間まで……
「みのりちゃん、もしかして全部思い出した?」
「、……、、…」
「……」
開かれた記憶の扉に、涙が溢れる。
声にならい分、ボロボロ溢れる涙が止まらない。
「そっか、思い出したんだ。でもみのりちゃん、まだわかってないよね。御影くんがこの世界に入ったきっかけが、自分だってこと」
「え……」
私が……きっかけ?
「おい、」
「ここまで思い出したのに、もう隠してはおけないんじゃない?」
「……」
御影さんが口を噤んだことで、銀くんが言葉を続ける。
私の知らない、真実を明かすために。