眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「御影さん、ずっと私の看病してくれてたんだよね?学校は行ってないんですか?」
「今は休んでる。お前の怪我が落ち着いたら普通に行く」
「私のせいで……。何から何まですみません」
落ち込む私の頭に、また無遠慮に御影さんの手が触れた。
かと思えば今度はわしゃわしゃと撫でられて、きっと髪をぼさぼさにされてしまった。
「気にすんな。俺がしたくてしてることだから」
さっきの適当さとは打って変わって、普通の高校生みたいな笑い方に驚く。
もしかして、暴走族の総長は実はみんなこんな風に笑うのかな。
……なんて、そんなはずない。
きっと御影さんが特別なんじゃないかなって、そう思う。
それと同時に、こんな風に笑える人が、
抗争や暴力がまかり通る世界で生きているのはどうしてだろう、って。
そんな疑問も、頭を過った。