眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「え………………銀、……くん………?」
うそ、
「、…銀くん───!!!」
パニックになり駆け寄ろうとした私を掴み、御影さんが荒く後方へ押し戻す。
私が一瞬怯んだ隙に御影さんはもうベッドを下りていて、藤堂リュージが振り向く間もなく回し蹴りを食らわせていた。
「は、銀には手出さなかったくせに俺には容赦ねぇな……」
「テメエは部下でもなんでもないからな」
そうだよ、御影さんなら銀くんを捕えることくらい、簡単だったはず。
なのにそれをしなかったのは……
唇の血を拭き起き上がろうとする藤堂リュージにそれを許さず、胸倉を掴むと何発も拳をぶつける。
痛々しいその光景を見て、藤堂リュージが自由に身動きを取れないことを確信。
『行くなら今だ』、御影さんがそう言っている気がして、私は銀くんの元へ急いだ。
「銀くん……! 銀くん!!」
何度呼びかけても、銀くんは目を開けてくれない。
撃たれた腹部からは大量の血が流れていて、支える私の服をも赤く染めていく。