眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



苦しそうに肩で息をしていたのに、その呼吸すらどんどん浅くなっている。



やだ、どうしよう、ほんとに死んじゃう、…


このままじゃ銀くんが死んじゃうよ……っ



「っ銀くん……銀くん!!」

「みのり、救急車と警察呼べ!」



止血している御影さんの服が、真っ赤に染まっている。


それを見て恐怖に固まりかけたけど、ギリギリ保って震えた手でポケットからスマホを取り出した。



だけど。



「でも、こんな……これじゃあ御影さんまで捕まっちゃうんじゃ……そうだ、闇医者! 前に言ってたよね、抗争のときは診てもらうって。またその人に、」

「───みのり」

「、…」



強く遮られた声に、ハッとして御影さんを見た。


目が合った瞬間、ぶわぁっと風が吹くような心強さに包まれる。



だって、御影さんが……


< 191 / 244 >

この作品をシェア

pagetop