眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「、、…御影……くん……?」
───『大丈夫』
そう言っているような強くて柔らかな眼差しは、とても懐かしいものだった。
「ずっと傍にいるから、心配するな」
「、…」
私を落ち着かせるための笑みは、『御影さん』じゃなく『御影くん』。
王子様みたいに、優しい空気を纏っている……
「みのりは事情を聞かれるくらいで捕まりはしない。ヤクザじゃあるまいし、銃を所持するのはさすがにいかれてる。藤堂をこの世界から消すには警察しかない」
そう、だけど。
「でも、御影さんが……」
「俺は売られた喧嘩に応えただけだ。ちゃんとみのりのとこに帰れる。言ったろ、傍にいるって」
「、、…」
「だから今は、銀を助けることだけ考えろ」
「、、、、…ッ、…」
そうだ。
そうだよ。
お母さんを見殺しにした記憶が蘇った今、あのときと同じことを繰り返したくない。
銀くんのことを、絶対に助けたい。