眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「その話をしたら、『やっぱり王子様!』って更にファンが増えて、今じゃみんな御影さんと銀くんの帰りを待ちわびてるよ」
「そうなんすね、よかったっす!」
「それより、リクくんは大丈夫?」
事件の経緯を説明したとき、リクくんは絶望の淵に立たされたような顔をしていた。
私はただただ心配で、この2週間なるべく連絡を取り続け……
今ではリクくんも、しっかりと現実を受け止め始めたように見える。
だけど、そうはいってもリクくんはまだたったの中学1年生だから。
「……無理はしないでね?」
伝えた言葉に、深く息を吐いたあとリクくんはカラッと笑った。
「オレは大丈夫っす」
「でも……」
「事件のことを聞いたときは、確かに死ぬほどショックだったっすけど……でもオレ、今でも銀さんのこと信じてるっす!」