眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「あれ、リクくん少し背伸びた?」
「あ、わかるっすか? 5センチ伸びたっす」
「そんなに!?」
この数日だけで確実に背が伸びたリクくんは、もう小学生には見えない。
どこから見ても、立派な中学生だ。
「じゃあ銀くん、きっともうすぐ目覚ますね」
「なんでっすか?」
「銀くんが弟の成長、見逃すわけないもん」
「……」
私の言葉に、リクくんの目があっという間に潤んでいった。
「う、うぅ……そんなこと言われたら泣けるっす~! 死ぬほど我慢してたのにーー!」
「あはは、ごめんごめん。でも我慢なんてしなくていいよ?」
「ダメっす……オレ、大人になるんすからっ……う、ぐすっ……」
夕焼けに伸びるリクくんの影が、涙を拭う。
この夕日があと何回沈めば、私たちはまた銀くんと笑い合えるんだろう───