眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




そして、銀くんが目覚めないまま事件から1ヶ月が過ぎた。











「全然変わってない……」



記憶をなくす前に御影さんと住んでいた、おんぼろアパート。


今、そこに1人で来ている。



六畳一間で暮らす中、私が以前住んでいた部屋は解約したって御影さんから聞いていたけど。



「……うそつき。解約なんてしてないじゃん」



御影さんにとっても思い入れがあるからか、それとも私に帰る場所を与えるためか。


残していた理由は、定かではないけど。



中に入ると、懐かしさが込み上げた。


2人で撮った写真や当時の制服が、そのままの状態で置いてある。



「、…」



記憶をなすく前の私は、毎日ここで泣いていた。


御影さんを……御影くんを想って、毎日。


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