眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「御影さん、あの日からずっと、たくさん守ってくれて本当にありがとうございました」

「……」

「本当に本当に、ほんっとーに、ありがとうございます」

「いや、そんなことよりみのり」

「そんなこと!?」



1ヶ月間頭を悩ませ続けた言葉への返事が、『そんなこと』……。


……私が先に言ったことへの仕返しかもしれないけど。



「……」

「御影さん?」

「……」

「な、なにっ」



無言のまま、御影さんがドアからずいずい近づいてくる。


目の前で立ち止まると、若干後退(あとずさ)る私の腰を強引に抱き寄せて───



「、んっ……」



噛みつくように荒く、唇が塞がれた。


腰と頭をがっちりホールドされて、あっという間に御影さんの腕の中で囚われのお姫様状態だ。


逃げ場のない強引なキスは、今までのどの御影さんよりも荒々しくて……


本能まみれのキスに、応えることすらままならない。



< 203 / 244 >

この作品をシェア

pagetop