眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「御影さん、あの日からずっと、たくさん守ってくれて本当にありがとうございました」
「……」
「本当に本当に、ほんっとーに、ありがとうございます」
「いや、そんなことよりみのり」
「そんなこと!?」
1ヶ月間頭を悩ませ続けた言葉への返事が、『そんなこと』……。
……私が先に言ったことへの仕返しかもしれないけど。
「……」
「御影さん?」
「……」
「な、なにっ」
無言のまま、御影さんがドアからずいずい近づいてくる。
目の前で立ち止まると、若干後退る私の腰を強引に抱き寄せて───
「、んっ……」
噛みつくように荒く、唇が塞がれた。
腰と頭をがっちりホールドされて、あっという間に御影さんの腕の中で囚われのお姫様状態だ。
逃げ場のない強引なキスは、今までのどの御影さんよりも荒々しくて……
本能まみれのキスに、応えることすらままならない。