眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



見渡す限り、普通の……私たちが毎日を過ごす、普通の大きな街だ。

てっきり、誰も近寄らないような薄暗い繁華街とかが縄張りなのかと思ってたのに。



「この辺りってか、この近隣の街も含め全部縄張りだな」

「全部!?」



こんなに大きな街だけじゃなく、そこらじゅうも全部?


それがどれほどすごいことなのか、なんの知識もない私でも一応はわかる。


しかも、この人がその全てを統括しているわけで……


普通の男子高校生、なんて思ったりもしたけど。

もしかして御影さんって、私が想像する数百倍怖い人なのかも……。



「暴走族って、もっと狭い世界で喧嘩とかしてるのかと思ってた……」

「そういうやつらもいるだろーけど。基本みのりたちが暮らす街と俺らの縄張りに、違いはない。同じ街に『表と裏』、もしくは『光と闇』、『白と黒』が共存してるってだけだ」



同じ街なのに、違う街。

危険はすぐ隣り合わせにあることを知り、ゾクリと背中に寒気が走る。


御影さんはこんなに近くに、手を伸ばせば届く場所にいるのに、それでも違う街の住人なんだ……


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