眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「これ……」

「クリスマスプレゼント」

「え?」

「クリスマスは喧嘩んなって、渡すタイミング逃したから」

「、…」



手の中で光るのは、雪の結晶のネックレス。


嬉しくて、じわりと涙が滲んだ。



「かわいい。……、…ありがとう、御影さん」

「あのさ。感動してるとこ悪いけど、その御影さんって呼び方いつまで続けんの」

「えっ」



脈絡のない指摘に、涙はものの数秒で引っ込んでしまった。



「敬語はなくなったのに、呼び方だけは直んねーのな」

「……それは」



確かに、記憶をなくす前は『御影くん』って呼んでいたから。


御影さんにとっては、ずっと違和感があったのかもしれない。



でも、私にとっては……



「……このままじゃダメかな? 白夜の総長は、『くん』っていうより『さん』のほうがしっくりくる気がして。……それに」


< 211 / 244 >

この作品をシェア

pagetop