眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「これ……」
「クリスマスプレゼント」
「え?」
「クリスマスは喧嘩んなって、渡すタイミング逃したから」
「、…」
手の中で光るのは、雪の結晶のネックレス。
嬉しくて、じわりと涙が滲んだ。
「かわいい。……、…ありがとう、御影さん」
「あのさ。感動してるとこ悪いけど、その御影さんって呼び方いつまで続けんの」
「えっ」
脈絡のない指摘に、涙はものの数秒で引っ込んでしまった。
「敬語はなくなったのに、呼び方だけは直んねーのな」
「……それは」
確かに、記憶をなくす前は『御影くん』って呼んでいたから。
御影さんにとっては、ずっと違和感があったのかもしれない。
でも、私にとっては……
「……このままじゃダメかな? 白夜の総長は、『くん』っていうより『さん』のほうがしっくりくる気がして。……それに」