眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす







「……今日も来てなかったね」

「期待するだけ無駄だろ」

「うん……」



私たちは毎日欠かさず、銀くんのお見舞いに通っている。


白夜の人やリクくんも頻繁に来ていて、みんなが今も銀くんを待っていることが伝わってくる。


だけど……


銀くんの両親が来ていた形跡は一度もなくて、そんなことに胸が痛んだ。


その代わりなのかなんなのか、使用人のような人がお世話をしに来ているのは時々見かける。



……銀くんって、一体何者なんだろう。




「今日、小町と話した」

「え、…」



病院帰り、道中でそんな話を切り出された。



「話したって……なにを? ていうか、いつ」

「呼び出されたんだよ、ホワイトターミナルに。で、小町の気持ちには応えられないってはっきり言った」

「、…」


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