眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



鑑別所を出たあと、御影さんは退学になることなく学校に戻ることができた。


あんな事件が起きたのにすんなり許可されたのは、それだけ生徒や教師からの支持が厚かったからだと思う。


けれど高校3年生とあって、今はもう自宅学習期間に入っている。


学校で会えるのは、あとは卒業式だけかもしれない。



……いや、そんなことより。

はっきり伝えたってことは、つまり……



「告白、されたの?」

「まー、そんな感じ」

「そっか……」

「断ったんだぞ。喜ばねーのかよ」

「や、うん。……よかった」



誰かが傷ついているのに、よかったと思うのは正しくないのかもしれない。


だから顔には出さないけど、内心はすごくほっとしている。


< 214 / 244 >

この作品をシェア

pagetop