眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「有難いことに親からの遺産はかなりあるし、それ使わせてもらう」

「う、うん。御影さんのお父さん、ものすっごい大企業の社長さんだったもんね。お母さんは海外で有名なモデルさんだったんでしょ?」



記憶がないときはわからなかった御影さん情報も、今はちゃんと頭に戻っている。



「まあ、俺が生まれたときには引退して日本にいたけど」

「……お父さんの会社は今もあるんだよね。今更だけど、跡を継いだりはしないの?」

「しない。そもそも同族経営の会社にするつもりなかっただろうし、やるなら俺もいちから作る」

「そっか、御影さんのお父さん、会社をいちから大企業にしたんだ……」



そんなすごい人が、どこで私のお母さんと知り合って恋に落ちたのか。


今となってはもう知ることもできないけれど。


でも、1つだけハッキリわかることがある。



御影さんの美しさは、絶対に、100%母親譲りだ。


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