眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
壮大な、だけど御影さんなら絶対に叶えてくれそうな夢に泣きそうになる。
さっきは銀くんのことを厄介者扱いしたくせに。
どこまでも御影さんらしい夢の中に、白夜の2番隊である銀くんは───親友である銀くんの存在は、欠かせないんだ。
暴走族になったって、総長になったって、御影さんは優しい王子様のままなんだ。
「えへへっ」
「なに笑ってんだよ」
「御影さんは御影さんだなーって思ったら、嬉しくて」
「なんだそれ」
どこか呆れたように、けれど優しく笑って、手を繋いだまま御影さんがまた歩き出す。
夕暮れの空は肌寒さを運んでくるから、御影さんにくっつくように私も歩いた。
……きっと、そのおかげ。
ポケットから、なにかの振動が伝わることに気づいたのは。
「御影さん、電話鳴ってない?」
「あ? あー、病院で音消したままだった」