眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす






「銀くん、目が覚めて本当によかったね」

「そうだな」



慌ただしくも帰宅した六畳一間で、改めて胸を撫でおろす。


お医者さんの話によると、銀くんはもう危険な状態にはないらしい。


撃たれた傷も治っているから、あとは寝たきりで衰えてしまった筋肉を戻すだけ。


リハビリを続ければ、最終的には今まで通りの生活に戻れる。


それを聞いて、心の底から安堵した。



「つーか銀のために泣きすぎだろ」

「あの状況で泣くなって言う方が無理だよ」

「……」



リクくんとたくさん泣いて、銀くんともたくさん泣いた。


御影さんは、そんな私たちに呆れるように笑っていたけど。


でも気持ちは、同じはず。


ううん、きっと私たち以上に。



銀くんが帰ってきて嬉しいのは、御影さんに決まってる。


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