眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
唇が触れ合っていても、私はもちろん目を閉じることはなく。
何が起きたのかわからないまま、頭が真っ白状態で数秒が過ぎていく。
そのあと、触れ合うところがあまりにもゆっくり離れていくから……
生々しいほど感じる柔らかさにハッとして、気づけば止まっていた息をようやく吸った。
「これで緊張、解れんだろ」
「、…」
ほ……解れるわけ、ない!
───チン
心の叫びと同時に、15階に到着した音が鳴る。
ドアが開くとすぐ御影さんが歩き出すから、
手を繋いだままの私も引かれる形でエレベーターを出た。
……なに?
今のキスは……なに。