眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
思考を巡らせながら、連れられるまま歩いた先。
目の前を見ると、大きなドアが待ち構えていた。
ここが真っ当な企業だとしたら、何かの会議やパーティーで使いそうな重厚なドア。
再びカードキーをかざすと、ドアが自動で開く。
「セキュリティー、徹底してる……」
「盗られちゃまずい情報は、こん中にいくらでもあるからな」
キスから思考を逸らす為、そんな話を振ってみたけど。
逸らすなんて、到底無理。
だって私はもう、どうかしちゃってるから。
心臓がバクバクいって、顔がカアっと熱くて恥ずかしい。
緊張を解す為。
御影さんは、そんな理由で簡単にキスできちゃう人。
……やっぱり住む世界が、違いすぎる人だ。