眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「あ、終わったみたいっす」



部屋の中の全員が、また一斉に立ち上がる。

さっきと同じ角度で御影さんに礼をして、どうやら会合は終了らしい。



どんな事情があったとしても、ゾロゾロと動き出すスーツ姿の男の群れがやっぱり怖くて……無意識に視線が下がる。

そんな中、厳めしい構えの椅子から立ち上がった御影さんの足が、真っ直ぐこちらに向かってくるのが見えた。



「みのり、少し待ってて」

「えっ」

「リク、みのりの相手頼んだ」

「はいっす!」


リクくんの頭をぐりぐり撫でて、御影さんはまだ用があるのか一人の男の元へ向かった。

それと入れ違うタイミングで、



「こんばんは、みのりさん」


< 32 / 244 >

この作品をシェア

pagetop