眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「み、みかげ、さん……? 冗談、ですよね」

「………」



返事の代わりに二つの碧眼が、ただ私を見つめてくる。



「目、逸らすなよ」

「そ、そんなこと言われても……」



どこまでも碧い瞳に吸い込まれる感覚がして、合わせてなんていられない。


だって、見られているだけで恋に落ちるような、そんな不思議な感覚がするから。



落ちたの?私……


違う、だってこの人のことよく知らない。

知らない人に恋なんて───



「なぁ、どーでもいいことウダウダ考えんの、なんつーか知ってる?」

「え……」

「無駄な時間」

「、…」




御影さんの右手が、腰に回る。

左手の指先は、誘うように私の顎に添えられて……


心臓がぎゅっと痺れると同時、───噛みつくように荒く、唇が奪われた。


< 39 / 244 >

この作品をシェア

pagetop