眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



呼吸のタイミングのあと、角度を変えてまた噛みつかれる。


もう足に力が入らなくて、前のめりにもたれる状態で……

私を抱えるように座り込んだ御影さんは、それでもキスをしたまま。



足の間に入った状態で、広い胸にもたれたまま気持ちいいキスの世界から抜け出せない。



「み、…かげ、……さ」

「なんだよ、もうギブか?」

「……うぅ、……へんに、なりそ」

「ふーん。なれば?」



笑い交じりの意地悪な言葉なのに、やけに優しいトーン。

それが耳にじわりと染み渡って、脳を麻痺させていく。


私の頭ごと抱えて、何度も何度もキスを重ねるのは、全部御影さんなのに。


まだ足りないって、心の中でそう思っているのは、私。



だけど。



まるで御影さんも同じ気持ちでいるみたいに感じるのは、どうして?



そんなの全部、私の都合のいい勘違い、なのかな。


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