眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
もうどれくらいキスだけを続けているだろう。
噛みつくようだった唇は、いつからか柔らかく優しいものに変わっていて……
些細なようで大きな変化に、私はまたふにゃふにゃになる。
「やば……キスだけじゃ足りなくなってきた」
言いながら、言葉の合間にまたキスが落ちる。
私たち、何度キスしたら満足するんだろう。
御影さんは足りないって言ってるんだから、これ以上のことをしないと満足なんてできないのかな。
「……みのり」
顔を離して火照りきった目で見つめると、クラクラする視界の中に御影さんが映る。
“みのり”
熱のある声で名前を呼ばれて、もう一度顔が近づけられた、
そのとき。
───“出ていけ、この疫病神……っ!!”
「、…」
突然、頭の中に残像みたいな映像が浮かんだ。
誰かが頭の中で、ひどい暴言を吐いている。
「イタッ……」
「みのり?」
「、、うっ……」
「おい、どうしたっ、…」
「頭、痛……」
頭を押さえたまま、私は御影さんの胸に倒れ込んだ。