眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
痛みに耐える中、またなにかの映像が流れてくる。
なに……
この声は、ダレ……?
───“お前なんかいらない!消えろ、死ね!!”
やめて、殴らないで、…
───“とっとと出ていけ、ここはお前の家じゃない!!”
お願い、そんなこと言わないでっ……
「やめ、て……やだ、やめて……」
「みのりっ、」
もやがかかる記憶の中で、誰かが暴力を振るう映像に体が震える。
ハッキリと見えないのにどうしてか生々しくて、今目の前で起きている現実みたいに声だけは鮮明で……
怖い……
怖いよ、……
「やめて、怖いっ、や……っ」
そのとき、震える体がぎゅぅっと強く抱きしめられた。
ガクガク震える中、耳元に優しい声が届く。
「大丈夫」
「、……」
「大丈夫だから」
「、」