眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
3「登校日と王子様」
「……ん……朝?」
「はよ」
翌日、いつもの布団の中で目が覚めた。
おはよ、と言った御影さんは、私の傍でスマホをいじっている。
右手はスマホ、左手は……布団から出た私の手を握った状態だ。
手……ずっと繋いでてくれたのかな。
「もしかして、寝てないんですか……?」
「あー……あんま眠くなくて」
「、…」
不眠症って言ってたし、多分嘘ではない。
でも、きっと心配して起きていてくれたんだ。
「昨日、ごめんなさい」
「なに、キスの続きできなかったこと?」
「じゃなくて、心配かけちゃって!」
「はは、別に気にしてねーよ」
「……」
そんな風に笑ってくれて、その笑顔に私の気持ちも軽くなる。
昨日聞こえた声や残像のことは、今はあんまり考えたくないから。
だから繋がれた手にだけ意識を集中して、私はまた目を閉じた―――