眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
出ていきたいわけじゃない。
むしろずっとここにいたいけど……
そんな図々しいこと、やっぱり言えない。
ガチャンって、持っていた食器がテーブルに置かれる音に視線を上げた……ら。
若干不機嫌な目が、私を見ていた。
「いいわけねーだろ」
「え?」
「ここにいろ。ずっと」
「……」
いい、の?
私、ずっとここにいていいの……?
また、御影さんが当たり前のように言ってくれるから。
こんなの、嬉しすぎるに決まってる。
でも、ただいさせてもらうのはやっぱり申し訳ないんじゃないかって。
そう考えて。
「ここにいさせてもらう代わりに、なにかお返しがしたいです」
「そういうの、いらねー」
「ダメです、なにかさせてください」
「なにかって、例えばなんだよ」
「それは、えーと……」
なにか役に立てることはないか。
なにか御影さんが困っていることはないか。
御影さん情報を頭の中で巡らせて、ピン!と閃く。
「これから毎日、一緒に寝るのはどうでしょう!」
「……は?」