眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「……それでも、いいです」
「ふーん」
適当な返事の直後、御影さんの体が少し動いたと思ったら私の頬に手が伸びてきた。
それだけで鼓動が騒ぎ始めて、余裕が全て奪われる。
無表情なのに触れる手つきは優しくて、油断すると一瞬で捕らわれてしまいそう。
自分の心臓の音だけが、この世界の唯一の音みたいに響いて……
もしかしたらもう……とっくに捕らわれているのかもしれない。
寄せられる顔に、抵抗する気も起きず目を閉じた。
「ん、……」
ふわりと触れた唇が、柔らかい。
優しく甘噛みされた下唇が、もどかしい。
もっとしてほしいって思っていたら、そんな想いが伝わったのか……
「……んっ……」
御影さんが身を乗り出して、私の腰を引き寄せ激しく奪った。
気持ちはどんどん加速して、もっともっとって欲張りになる。
応えるだけで精一杯で、私からなんてなにも出来ないくせに。
そんな欲しがりな私に少し笑って、また、気持ちのいいキスをしてくれる。