眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
「お、おはよう?」
「………」
………無視。
寝起き悪い?
わけではなかったはずだけど。
もぞもぞ動いた御影さんは、私のほうを向いたまま腕で少し体を持ち上げた。
その結果、寝起きのぼーっとした顔が上から私を見下ろしている。
「あの……?」
「……朝は、ほんとやばいから」
「え?」
朝はヤバイ。
その意味を悟ったのは、数秒後だった。
体を持ち上げた御影さんが、床ドンの如く私の顔の横に手をついて……
「……!!」
影を落とすように、首筋に強く吸い付いてきた。
ヤバイって、そういう意味……!
「ん、っ……」
頬、首筋、耳、肩、キスが至る所に落とされる。
こんな一日の始まりは、なんだか恋人っぽいな。……なんて。
そんなことを悠長に考えていたら、細くて長い指先が、キスをしながら服の中に入り込んできた。