眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす






「……御影さんが、制服着てる」

「そりゃ着るだろ。高校生なんだから」



今日から私は、御影さんと同じ高校に行く。

一体どうやったのか、転校の手続きをいつの間にか済ませてくれたようで。



「ほら、行くぞ」

「う、うん」



新しい学校に緊張しながら家を出て、御影さんと通学路を歩く。

しばらくして「おはよう」の声に振り向けば、後ろには銀くんの姿があった。



「あれ、銀くんも同じ学校なんだ?」

「うん、僕たち同じクラスだから、よろしくね」

「え!」


銀くんが一緒というだけで、知り合いがいないという不安が一気に解消されていく。



「なにかあったときのために、御影くんが同じクラスにしてくれたんだ」

「御影さんが……?」



転校の手続きといいクラスの振り分けといい、高校生にそんなことできるんだろうか。

まさか、先生にまで恐れられてる存在とか?


あれこれ考えながら歩く中、チラチラと多くの視線を感じることに気が付いた。

そのほとんどが登校中の女子生徒からで、次第に肩身が狭くなってくる。


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