眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「でもみんな、本当に御影さんの正体知らないんだね」

「うん、徹底的に隠してるから」

「徹底的に?」

「御影くん、本当は普通の世界で生きたいんだと思う」

「え?」

「ほら、白夜もホワイトターミナルも名前に白がついてるでしょ?その気持ちの現れなんじゃないかなって」

「黒じゃなく、白い世界に戻りたいってこと?」



私の声に、少し複雑な表情で銀くんが頷く。


本当は、真っ当な世界で生きたい。

だけどそれが叶わない何かが、御影さんを縛っているということ?


一体なにが……




いくらキスをしても、いくら恋人のように抱き締められても。


御影さんについて、私は知らないことばっかりだ。


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