眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



「ちなみに、僕とリクはホワイトターミナルに住んでるんだ」

「え、あのビル、住めるような部屋があるの?」

「うん、あそこはアジトでもあるけど、家庭の事情で帰れない子たちの家でもあるから。マンションではないけど、個別の部屋もちゃんとある」

「そうなんだ」



……帰れない子。


御影さんだけじゃない。

銀くんもリクくんも、よっぽどの事情があるってことだ。



「おかげで、リクとは今じゃ本当の兄弟みたいな感じかな。まだ中学生だから、面倒見るよう御影くんに頼まれてるしね」

「、…」



面倒をみるよう頼んだのは、誰よりも幼いリクくんが寂しい想いをしないように。


そんな深い情愛を感じたら、私だけじゃない……誰だってきっと、剣崎御影という人物に一層引き込まれてしまう。


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