眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす
強引なキスだけど、すごく丁寧。
角度を変えて深く奪われたと思ったら、次は触れるだけみたいな優しい温もりが走ったり。
そんな風に何度も何度も私に触れる唇が、私を大切って言ってるみたいに思えて……
そんなの、絶対気のせいなのに。
私を大切に想う理由なんて、あるわけないのに。
だって私は、彼女じゃない。
でも。じゃあ。
彼女じゃないのにこんなことをする理由は、なに?
「……さすがに、そろそろ戻んねーとか」
「、…行っちゃう、の?」
「………」
うっかり零れた本音に、御影さんは一瞬の無言を挟んで……
ベッドの中、上から倒れ込むようにぎゅっと密着してきた。
お、重い……!
「今の、わざと?」
「え、なにが……」
「タチ悪すぎ……。離れたくなくなる」
「、…」
こんな、彼氏と彼女みたいなやりとり。
もしかして、いつの間にか私は彼女になってたのかな?
ううん、そんな記憶、絶対にない。
じゃあ、どうして……