眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



強引なキスだけど、すごく丁寧。

角度を変えて深く奪われたと思ったら、次は触れるだけみたいな優しい温もりが走ったり。


そんな風に何度も何度も私に触れる唇が、私を大切って言ってるみたいに思えて……



そんなの、絶対気のせいなのに。


私を大切に想う理由なんて、あるわけないのに。


だって私は、彼女じゃない。




でも。じゃあ。


彼女じゃないのにこんなことをする理由は、なに?




「……さすがに、そろそろ戻んねーとか」

「、…行っちゃう、の?」

「………」



うっかり零れた本音に、御影さんは一瞬の無言を挟んで……

ベッドの中、上から倒れ込むようにぎゅっと密着してきた。



お、重い……!



「今の、わざと?」

「え、なにが……」

「タチ悪すぎ……。離れたくなくなる」

「、…」




こんな、彼氏と彼女みたいなやりとり。

もしかして、いつの間にか私は彼女になってたのかな?


ううん、そんな記憶、絶対にない。



じゃあ、どうして……


< 67 / 244 >

この作品をシェア

pagetop