眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす



どうしようもないこの感情を、吐き出してしまいたい気持ちのほうが今は強い。


いっそ我儘を言って、小町さんよりずっと甘い時間を作ってもらうのも悪くないかも。


だって私が秘密を握っている以上、御影さんは私を(ないがし)ろにはできないんだから。


そこに気持ちがなくたって、私が望めば叶えてくれるはずだから。



……そんな考えは、ズルいのかな。


どっちにしろ、そんなズルい女にはなれそうにないけど。


だったらやっぱり、吐き出してしまうほか道はない。




「小町さんの、……服を脱がせてるところ、見ちゃって」

「……」

「その……モヤモヤ、と」

「は?」



何を思ったのか、御影さんは意外そうに私を見た。


ビクビクして言葉を待っていると、未だ握られている手が持ち上げられて……


手の甲に、ちゅ、とキスが落とされた。



なんで、ここでキス?


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